嵯峨どんす「雲と鳳凰」~知恵と技で支える繊細な仕上げ~

こんにちは、淺田襖工房淺田ですっ。

今回はシルク生地の嵯峨どんす「雲と鳳凰」を用いた特別なご依頼についてご紹介します。

この繊細な生地を活かしながら、反りやシミを抑えるため、細心の注意を払いながら仕上げた一枚です。


「雲と鳳凰」の繊細な仕上げ—その背景と工程

嵯峨どんすは、繊細で高級感あるシルクの生地です。

今回は特別なご依頼として、建具屋の社長様より「シナベニヤ5.5mm厚の片面仕上げ」という難易度の高い条件をいただきました。

通常、このような薄いベニヤを用いた場合、湿気や糊の影響で反りが発生する可能性が高く、

仕上げには細心の注意が必要です。以下に、具体的な工夫をまとめました。

仕上げ工程と技術的工夫

1. 下地の準備

・素材の選定

 使用するシナベニヤ(5.5mm厚)は薄く、反りやすいため、生地張りの前に強度と安定性を考慮しました。

・下張りの工夫

 表面には鳥の子紙を下張りとして使用。これは、シミやアクの発生を防ぐための重要なプロセスです。

下張り(鳥の子)の画像1


下張り(鳥の子)の画像2

2. 裏面の仕上げ

・雲華紙を使用

 裏面には引っ張り強度に優れた雲華紙を選定。これにより、ベニヤの反りを軽減する効果を狙いました。

・鳥の子紙の縁切り

 鳥の子紙を裏側に回し、糊が乾燥した後に縁を切ることで、さらに反りを抑えました。

下張り(雲華紙)の画像1
下張り(雲華紙)の画像2
下張り(雲華紙)の画像3

3. 張り付け作業

・繊細な生地への対応

 シルクの嵯峨どんすは非常にデリケートな素材であり、作業中の糊の量や圧力の加減に特別な注意が必要で

 した。テスト張りを行い、最適な糊と道具を確認した上で本張りを実施しました。

テスト張りの画像

嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像1
嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像2
嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像3

嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像4
嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像5
嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像6

嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像7
嵯峨どんす「雲と鳳凰」の画像8

仕上がりとお客様の反応

「助かりました!」という建具屋の社長様の笑顔とお言葉が、何よりの報酬となりました。

通常の工程以上に神経を使いましたが、仕上がりを喜んでいただけたことで疲れも吹き飛びました。

自分なりに工夫を重ねたことが形になり、大きな達成感を感じています。

今回の作品は、京都の新しいホテルのカウンターの腰壁に設置されるとのこと。

完成後の写真を拝見できないのが残念ですが、どのように空間に調和し、お客様を迎える姿を想像すると胸が高鳴ります♪

表装とは?

和紙や布を使って建具やパネル・絵画などを装飾し、美しく仕上げる伝統的な技術のことです。

日本の文化や歴史に深く根ざし、和室のデザインや芸術品の保護・美化に欠かせない役割を担っています。


シルク生地の仕上げには、

素材の美しさを引き立てながら、反りやシミなどの課題を克服する工夫が必要です。

淺田襖工房では、このような繊細なご依頼にも柔軟に対応しております。

ぜひ、お気軽にご相談ください!

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